書店に行くたびに
これが自分の店なら、もうちょっと子どもの本のスペース広くして、いろんな本を置くんだけどなぁ
なーんて、思い続けているHANAです。(商売っ気ゼロ)
そんな私が、今回は楽しい絵本をご紹介します。
・秋から冬のこの時期にぴったりで
・楽しい夢が見られそうだし
・子どもたちが大好きで、寝る前によく読んでたなぁ
・どこか不思議な感じ、答えはいろいろありそうでミステリアスな感じもいいし、絵が美しい!
・懐かしくて手に取ったら、おもしろいしかけがあってびっくりした
そんな本たちです。
よかったらお付き合いください。
【絵本】秋におすすめ、おもしろい、不思議、たのしい絵本5+1冊のご紹介
ゆうぐれ
(注意・写真をクリックするとAmazonにとびます)
ゆうぐれ
ユリ・シュルヴィッツ 作
さくまゆみこ 訳
あすなろ書房
冬の日のゆうぐれどき、散歩にでかけた男の子が目にした風景を描いた作品です。
日が沈み、明るいの空はゆっくりと青さを失い、やがて灰色から濃紺へとかわっていきます。
そして、ひとつ、、ポッ、またひとつ、ポッ、と、ともり始める街の灯り。
暗い空と明るい光ののコントラスト、色とりどりのイルミネーションやまばゆいショーウインドウのデコレーションが素敵です。
『よあけ』の絵本では、暗い空に太陽が昇る瞬間を1コマずつ切り取って、微妙な光の変化を美しく描いたユリ・シュルヴィッツが、『ゆうぐれ』では太陽が沈んだあとの空、街の景色を表現しています。
そして、『ゆうぐれ』には男の子と犬とおじさんが登場する野ですが、男の子と犬は同じくシュルヴィッツの『ゆき』をご存知のかたなら
あ、あの子たちだ!
ってわかりますよ。
彼らが歩く街はクリスマスの飾りでとてもにぎやか。
街角で賛美歌を歌う聖歌隊の子どもたちの歌声が聞こえてくるようです。
よるのようちえん
よるのようちえん
谷川俊太郎 文
中辻 悦子 絵・写真
福音館書店
子どもたち幼稚園のころ、よく読んだ本です。
写真の中に絵が混じっている不思議な絵、そして不思議な世界です。
子どもたちはみんな家へ帰ってだれもいなくなった幼稚園が舞台。
下駄箱、廊下、階段、教室、園庭のジャングルジムやすべりだい、など
幼稚園のいろんな場所を撮った写真で、そこには誰もいません。
誰もいないのに、椅子がズラリと並んでいる教室。ちょっと不気味。
そこにあらわれるのが、
そっとさんとずっとさんとさっとさんとぬっとさんとぱっとさんとぽっとさんとじっとさんとぜっとさんとおっとさん
です。
彼らは何もの?
不思議な形をしたいきもの、みんな色もかたちも違います。
ふしぎないきものたちが夜の幼稚園のあっちこっちで遊んでいます。
ぼくらの幼稚園は、夜になるとこんな不思議な場所になってるの?!
子どもたちはきっとそんなことを考えてたんじゃないかな。
ぱっとさんは ぴぽぺてぽ
おっとさんは すってんとん、
ぬっとさんは ふんわほわ
声に出して、読むのがむつかしく、つっかかることもしょっちゅうでした。
日常にない言葉がいっぱい出てきて、どんなふうに読めばいいのか悩みました。最初はね。
でも、つっかかって笑われながら読むのが、じつは親も子も楽しかったりします。
幼稚園に通う年頃のお子さんにはきっとウケるはず。
見つけたら手にとってみてください。
しーっ!ひみつのさくせん
しーっ!ひみつのさくせん
クリスホートン 作
木坂涼 訳
BL出版
黒い衣装に身を包み、大きな目が光る4人組。
ほんのちょっとだけ『すてきな3にんぐみ』を思わせるところがありますが、こちらの4人組はおっちょこちょい。
夜の森にやってきて、美しい鳥を捕まえようとするのですが、鳥はあと一歩のところでにげてしまいます。
そこでまた追いかける、
また逃げられる
またまた追いかける
つかまえられるもんならつかまえてみなさいよ、
と言わんばかりの鳥を、あの手、この手、といろんな作戦を使って追いかけるんですね。
でもなかなかうまくいかない。
上手くいきそうで失敗ばかり、そこが楽しい絵本です。
最後はどんな作戦に出るのでしょうか
北欧の夜の森、まあるいおつきさまだけがその結末を見届けていますよ。
夢の川
夢の川
マーク・マーティン 作
海都 洋子 訳
六曜社
主人公の「わたし」が語り手です。
高い窓から私が見下ろす街は大小ビルが立ちならぶ都会の雰囲気。
夕暮れで、オレンジ色の太陽が遠くに小さくかすんで見えます。
そして1本の緑の川が左の奥から流れてきて、ヘビのようにくねくねと蛇行を繰り返しながら右の奥の方へと流れて行きます。
この川を一艘の船に乗った私が下って行く物語です。
最初にやってきたのは大きな町。
ビルとビルの間を縫ってはしる立体交差の道路には車がぎっしり。
その先の工場の街は黒い煙を黙々と吐く煙突がたくさん。
やがて田舎にやってきました。そこには畑や動物の姿も見えます。
舟の旅はゆっくりといろんな景色を楽しみながら続きます。
山をぬけ、ジャングルの森を通り、どこまでいくのでしょう?
ページをめくっていくたびに、まったく違う景色が広がっています。
特に、夜のジャングルの景色は、変わった形の木や花の影からいろんな動物がかくれていて、よくよく目を凝らしてみると、それが鳥だったりサルだったり、ヘビだったり。
川の流れに乗って、素敵な夢の世界へ私も流れていきたくなる、そんな作品です。
マーク・マーティンはこの作品でオーストラリアの児童書新人イラストレーターに授与される2013年クライトン賞を受賞しています。
名前のない人
名前のない人
C.V.オールズバーグ 絵と文
村上春樹 訳
河出書房新社
彼は、いったいどこからきてどんなことをしている人か、いい人か悪いなのか、さっぱりわからない
そんな不思議な主人公・彼を描いたのがこの本『名前のない人』です。
車に人がぶつかって倒れてしまうというはじまりで
えっ?! 大丈夫なの?
と思いまがすが、心配はいりません。
大したけがを負うこともなかったか彼は、ベイリーさんというお百姓さんの一家に迎えられていっしょに暮らすことになります。
最初はいろいろとぎこちなかった彼ですが、ベイリーさんたち一家のやさしさに包まれるうちに打ち解けていきます。ベイリーさんの仕事を手伝ったり、いっしょに歌ったり踊ったり、楽しい暮らしになじんでいきます。
しかし、そんなある日、ハッ、と気づくのです。
彼は何に気づいたんでしょう?
彼はいったい何者だったのでしょう?
物語の結末でも、彼が何者だったのかは明かされていません。
だから、ミステリアス。
読む人によっていろんな答えが出てきそうです。
透明感のあるパステル画はとても美しく、やさしい中に不思議な雰囲気を醸しだしています。
彼はいったい誰なんだろうね?
と聞いてみると、子どもたちは大人には思いつかない面白い答えを返してくれるかもしれませんね。
《おまけ》大きな古時計
大きな古時計
Henry Clay Work 作詞・作曲
保富康午 訳詞
伊藤正道 絵
出版ワークス
♪おーおーきな のっぽの ふるどけい~
ではじまるみなさんご存知「大きな古時計」。
この歌の歌詞が、伊藤正道さんの絵で語られる絵本です。
おじいさんが生まれてから天国へ上るまで、1番から3番までじっくり読んでいくと、ホロッときます。
この絵本、2003年に出版されていたのですが、長らく絶版となっていました。
そして、今年の10月に復刊されました。
ほのぼのとしたかわいい伊藤さんの絵は、ご存知の方もいらっしゃると思います。
きらら397の「きららちゃん」も伊藤さんのデザインでした。
(写真はAmazonから引用)
さて今回、復刊された絵本ですが、面白い仕掛けがついています。
最後に4つのQRコードがついていて、それをスマホで読み取って、リンクを開くと4種類の「大きな古時計」が聴けるのです。
・絵本のページごと
・全曲とおして
・オルゴール演奏
・ピアノ独奏
歌声はママと子どもです。
絵本を見ながら聞いてもいいし、音だけでも楽しめます。
実はこの歌には個人的な懐かしい思い出がありまして、《おまけ》にしておきました。
思い出話はまた次回。
以上、秋にぴったり、おすすめの絵本の紹介でした。
最後までおつき合いありがとうございます。
最後にポチットよろしくお願いします。