HANAのおと

50代主婦hanaの雑記帳。おもしろい、役に立つ、覚えておきたいことをあれこれと書いています

【子どもと本】いま、見直される児童書の魅力!!~首都圏情報ねたどりネタドリ!より

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本の写真



10月9日に放送されたNHKの「首都圏情報 ネタドリ!」で

「コロナ禍で売り上げ増! 見直される“児童書”の魅力」

というトピックが取り上げられていました。

児童書というと、専門店や大型書店は別として、一般の書店では売り場も狭く、置かれている数も限られています。残念なことですが。

ところが、コロナ禍で児童書の売り上げが急増したそうです(昨年比ですが)。

番組では、ある2組の親子と1人の高校生に取材し、売り上げ増につながった理由と児童書の役割についてレポートしていました。

幼児、小学生、高校生、大人、それぞれが違った視点から児童書の魅力を感じていて興味深かったので、彼らの体験と影響を与えた本を紹介します。

 

www.nhk.jp

 

 

絵本の世界に救われた親子


3歳の女の子Mちゃんに毎日30分の読み聞かせをしているという母親のA子さん。

彼女は娘の成長を身近で見ていたいと小学校の教員を退職しました。

そしていろんな場所、いろんな人との触れ合いの中で子育てをしたい、と考えていた矢先、コロナで外出ができなくなってしまいます。

そんなとき、よく読んでいたのがいわむらかずおさんの絵本、14匹のシリーズでした。

14匹のねずみシリーズはおとうさん、おかあさん、おじいさん、おばあさん、そして10ぴきのこどもたち、みんなで14ひきのねずみの一家のお話です。

 

Mちゃんは絵本のぞき込んで(絵本の中のねずみたちのように)

ここ(の草の上)に登りたいな!

と、とても楽しそうです。

14ひきのとんぼいけの表紙

14ひきのとんぼいけ (14ひきのシリーズ)はYちゃんのお気に入り!

 


一方、コロナ禍で変わってしまった毎日の生活に、いら立つ思いを抱えるようになったという母親のA子さん。
イライラをMちゃんにぶつけるわけにはいかず、悩んでいたA子さんでしたが、この絵本を読んでいるうちに、イライラが消えていくのを感じるようになりました。

彼女には、繰り返し読んでいるうちに忘れられなくなった場面がありました。
それは、14匹のねずみの一家がみんなそろって晩ごはんを食べるシーンです。

1日のおわり、みんないっしょに晩ごはんを囲むねずみたちを見ているうちに、

こうして、1日の出来事を話したり笑い合ったりしてるんだろうな、
今日も1日ご苦労さま、とお互いをねぎらう、

そんな身近なしあわせもあるんだなぁ、

そういう日常っていいな、
と思い始めたそうです。

くりかえし読むうちに、心にゆとりが持てるようになり、やさしくなれるようになった

、この絵本は私の子育てのバイブルです、と話していました。

 

14匹のねずみシリーズはおとうさん、おかあさん、おじいさん、おばあさん、10ぴきのこどもたち、ねすみの14ひきかぞくのお話です。「14ひきのひっこし」(1983年7月10日初版)、「14ひきのあさごはん」「14ひきのやまいも」など、12巻からなるシリーズは、いまもたくさんの親子に愛されています。

 

 

自分の世界を広げてくれる本と出会った小学生

 

毎週のように書店を訪れる親子。

小学校4年生のYちゃんは30分ほどの読書が毎日の日課になっています。

母親のB子さんは、娘の世界を広げてくれた本の力に驚いたといいます。

小学校が休校になり、授業も宿題もなくなってしまい、何もしないでボーっとしている時間が増えたそうです。

そんな姿を見た母親のB子さんは、Yちゃんが好きな自然や環境をテーマにした本を渡しました。

読み始めて1か月たった頃、B子さんは娘の変化が現れたといいます。

Yちゃんはその中の1冊『山に木を植えました (講談社の創作絵本)』(スギヤマカナヨ作/講談社)という絵本を、熱心に読み始めます。

 

山に木を植えました 表紙

40ページにも満たない絵本ですが、Yちゃんは1時間ほどかけてじっくりと読んでいたそうです。

母親のB子さんは、本を夢中で読むようになったYちゃんに大きな変化を感じました。
家にいながらこれだけ夢中になれる本の力はすごいし、子どもの世界を広げてくれる先生のようだ
と驚いたそうです。

 

Yちゃんが最も印象に残っている本が「クジラのおなかからプラスチック」(保坂直紀・著(旬報社)です。

この本には、網に絡まってがんじがらめで動けないウミガメや、ビニール袋にくるまれてしまった海鳥の写真などを用いて、海洋プラスチック汚染に関する情報がわかりやすく解説されています。

 

くじらのおなかからプラスチック 表紙


この本についてYちゃんは

なんでこんなに海にプラスチックを捨てちゃう人がいるのかな、ひどいと思った。

と自分の考えをはっきりと発言していました。

 

 

本との出会いで「時間の生き方」を見直した高校生


T さんは高校1年生。
高校では文芸部に入っています。
今年の8月、文芸部で読書会が開かれました。
その時に取り上げられたのは『モモ』(ミヒャエル・エンデ作・大島かおり訳 岩波書店)です。
『モモ』はドイツの作家ミヒャエル・エンデが50年ほど前に書いた作品で、時間どろぼうに盗まれてしまった時間を取りもどしてくれた女の子の物語です。


文芸部の部員たちは、コロナによる一斉休校で学校での時間を奪われた、と感じていました。

1年生のTさんもその一人。

彼は中学校最後の時間を失い、本来あるべき時間が無くなって悔しい、という思いを抱えています。


そんなTさんが『モモ』を読んで強く心に残ったシーンが紹介されました。それは床屋の亭主の話です。


店主は時間どろぼうに、お客や友人や家族と過ごす時間を節約し、効率的に生きるように言われます。その言葉通り人との会話をやめ、ひたすら髪を切ることに専念するようになった店主。すると、彼は怒りっぽく落ち着きのない人になってしまったのです。


Tさんはこの場面を読んで、
「友だちとあそんだり、自転車に乗って帰ったり、給食でジャンケンしたり先生に怒られたり、今までの何気ない時間が幸せだったんだな、と思うようになった」そうです。

自分以外の人との何気ない時間が人生を豊かにしてくれる、と感じたと語ります。

そして、これからの高校生活についてはこんなふうに言っていました。

この本を読んでから、自分は充実した時間を過ごしたいと思うようになった、いろんな人とかかわりあえることが幸せなことなので、これからの高校生活もいろんな人と関わって過ごしていきたいと思います。

 

モモ―時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語 (岩波少年少女の本 37)

 

 

番組で紹介されていた本の紹介

 

番組中には、売り上げが伸びている本がたくさん紹介されていました、最後にそちらの本も紹介します。

本の紹介


どれも昨年と比べて売り上げが急増しているそうです。

 

 

・フレデリック レオ・レオニ 作 / 谷川俊太郎 訳  好学社

・だるまさんが かがくいひろし 作  ブロンズ新社

・こんとあき 林 明子 作  福音館書店

・はれときどきブタ  矢玉 四郎 作  岩崎書店

・パパ、お月さまとって エリックカール 作 / もりひさし 訳 偕成社

・ちいさいおうち バージニア・リー・バートン 作 / 石井桃子 訳 岩波書店

・くまの子ウーフ 神沢 利子 文 / 井上 洋介 絵 ポプラ社

・わたしのワンピース 西巻 茅子 作 こぐま社

・どろんこハリー ジーン・ジオン 文 / マーガレット・ブロイ・グレアム 絵 / 渡辺 茂男 訳 福音館書店

・きんぎょがにげた 五味太郎 作 福音館書店

・ぐりとぐら 中川 李枝子 作 / 大村 百合子 絵 福音館書店

・かいじゅうたちのいるところ モーリス・センダック 作 / 神宮輝夫 訳 冨山房

・スイミー レオ・レオニ 作 / 谷川俊太郎 訳 好学社

・しろくまちゃんのほっとけーき わかやまけん 作 こぐま社

・ふたりはともだち アーノルド・ローベル 作 / 三木 卓  文化出版局

・大どろぼうホッツェンプロッツ オトフリート=プロイスラー 作  中村 浩三 訳 偕成社

・エルマーのぼうけん ルース・スタイルス・ガネット 作 / 渡辺 茂男 訳 / ルース・クリスマン・ガネット 絵 福音館書店

・とうさんまいご 五味太郎 作 偕成社

ふしぎ駄菓子屋銭天堂 廣嶋玲子 作 偕成社

 

『とうさんまいご』は昨年の3倍、『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』は2.5倍売り上げが伸びたそうです。すごい人気ですね!


『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』の初版は7年前ですが、その他は2、30年前に世に出た作品ばかりなので、子どもの頃に読んだことがある大人の方も多いのではないかと思います。

 

なぜ今、数十年も前の児童書が多く売れているかについては、絵本ナビの編集長・磯崎園子さんは

コロナで不安を抱えている中、児童書の中にある普遍的なメッセージ、そこにある変わらない生きるヒントが好まれているからではないか
というお話をされていました。

 

感想

 

私自身、子どもの頃に椋鳩十さんの『孤島の野犬』という作品に出会ったことがきっかけで、動物が大好きになりました。おかげで、それまでは怖くてさわれなかったお向かいのシェパードとも遊べるようになった、なんて経験もあります。本が自分の世界を広げてくれる、というのは本当です。

今、数十年前の本が読み継がれているように、今の子どもたちが大人になったとき、その子どもたちに読み継がれていく本が、これからもどんどん増えていってほしいと思います。

 

最後に、ひとつ。

以前、このブログで紹介した小学生たちが投票して選んだ読みたい本100冊というのがあるのですが、このなかに、今回紹介された本は1冊だけでした。(予想通りの結果ではありますが。)

詳しい内容はこちらです。

 

www.hanahirako.com

 

番組で紹介された本は、大人が子どものために選び購入したものが多いのではないかと思われます。児童書の売り上げは親がにぎっているという現実が明らかになる結果でもありました。

 

さて、おまけの情報です。

小学生が選ぶ!こどもの本総選挙、次回の第3回はいつ行われるのか調べてみたところ

 

2021年5月5日に投票を開始し、

2022年2月11日に結果発表!

こどもの本総選挙HPより

 

ということがわりました。

少し先になりますが次回はどんな本が選ばれるのか、結果発表が楽しみですね。

kodomonohon-sousenkyo.jp

 

以上、「コロナ禍で売り上げ増! 見直される“児童書”の魅力」についての番組紹介でした。

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