季節柄ではあるのですが、例年より藤の花をよく目にします。
散歩の途中、垣根の向こうに咲いてるのを見かけたり、公園の一角にちょうど見ごろで咲いていたり、見慣れた雑木林の中に咲いているのに初めて気づいたり。
藤の花って特別なところに行かないと見れないと思っていましたが、案外身近にあったんですね。
それに気づいたら、あの辺に藤の花はないかな?とアンテナを張るようになりました。
すると不思議なことに見つかるんですよ。
あんなとこにもあった!ってうれしくなりました。
藤に親しみが湧いてきました。
藤娘をご存知ですか?
みなさんは、「藤娘(ふじむすめ)」をご存知でしょうか?
歌舞伎の演目や長唄、羽子板の押絵の題材としても使われています。
「藤娘」は、黒い塗り笠をかぶり、長い房をたらした藤の花を手にした娘さん。
こんなイメージです。
実は、藤娘は、私の実家のある大津と深いかかわりがあります。
大津には、江戸時代から(現在も)描かれている「大津絵」という絵がありまして、藤娘は「大津絵」の画題の一つ。
下の写真は、大津絵の画題の人気者十人が集合した絵で、この中に藤娘もいます。
★大津絵十種(十人衆)・鬼の寒念仏(小児の夜泣き止めの符)・藤娘(良縁の符)・弁慶(身体剛健) ・雷公(雷除け)・座頭(倒れぬ府)・矢の根(目的貫徹)・長頭翁(無病長寿)・槍持奴(道中安全)・瓢箪鯰(水難除け・諸事円満解決)
藤娘はどこにいるか、わかります?
大きく描かれた鬼の右隣は長頭翁、その右側が藤娘で、さらに右端は弁慶という並び。
小さいのでよくわからない方のため写真を1枚載せておきます。
大津絵は作者によって絵柄の違いがあって、
上の写真のような藤娘もいれば、
下の写真のような方も。
ポーズもきっちり決まっているわけではないのです。
みんな違ってみんな藤娘、なんですね。
大津絵は江戸時代初期から東海道を行き交う人々の土産物として売られた絵。今でいう土産物の絵はがき。浮世絵よりも安価で庶民にも手に入りやすかった分、長く保存されることが少ないそうです。
ところで、
今年のゴールデンウィークは、実家に帰省しているのですが、こちらでも藤の花に縁がありました。
三大神社の砂擦りの藤
三大神社は滋賀県草津市にあるこぢんまりした神社。
JR草津駅の北約3.5km、条里集落の遺構地吉田の中心にあります。
祭神は志那津彦命(しなつひこのみこと)、志那津姫命(しなつひめのみこと)です。
地元では「砂擦りのふじ」とよばれる、長い見事な房をつける藤が見られる場所、として有名で、この時期、たくさんの人が藤を見に訪れます。
畑の中の農道、メロン栽培のビニールハウスが続く通称「メロン街道」を車で走ると、その先にこんもりとした雑木林が見えてきます。
それが三大神社の目印。
雑木林のそばの駐車場(無料)に車を止めます。
三大神社は、歩いてすぐです。
石の鳥居をくぐると、もう右手に藤棚が見えています。
房が短めの桃色の藤です。
藤というと紫が思い浮かびますが、この桃色の藤、私は初めて見たのですが、少女を思わせるかわいらしさ。
とても愛らしかったです。
その並びに老藤の藤棚が続きます。
遠い昔、藤原氏の隆盛を記念して植えられ、巨木となった藤ですが、織田信長の兵火により焼失、しかし、その株元から新たに芽生え、現在に至るといわれる老藤です。
その花は「砂擦りのふじ」(地面に着くほど長い藤の花)と呼ばれ、県や市の天然記念物もに指定されています。
こちらは紫色で、房もりっぱです。
さすがに2mとはいかないまでも、1.5mくらいはあったんじゃないでしょうか。
満開の花を目当てに、たくさんのハチがブンブン羽音を響かせていました。
それはもう、うるさいくらいにブンブン鳴らしていました。
これだけ花があれば、もう、ハチにとっては天国ですからね。
人の気配なんぞまったく気にせず、ひたすら花に夢中って感じでした。
昆虫が苦手な方は、近寄れないかもしれません。
でも、私は平気(好き)ですから、花に接近して「花とハチ」の撮影を試みました。
花から花へと飛びまわり、なかなかじっとしてくれないので、苦労しましたが。
藤棚の下に入って上を見上げ、藤のシャワーを浴びてきました。
ほんのりと甘い花の香りに包まれて、幸せな気分になりました~。
三大神社は地元では藤の名所として知られているのですが、長らく地元を離れていた私は初めての場所。
この日は月曜だったおかげで、人出はそこそこでしたが、駐車場も空いていて、ゆっくりと見物し、余裕で撮影もできました。
帰りは道の駅によって、もぎたていちごの食べ比べ、というおまけつき。
毎月帰省している私ですが、いつもは短い滞在で、帰省イコール実家の片づけという感じですが、今回は時間に余裕があり、久しぶりに両親と出かけて楽しい時間が過ごせました。
あたたかい季節になり、植物が芽吹き、花をつけ、生き生きとしてくると、人も元気になるんですね。
自然と触れ合うことで、自然からパワーをもらっているのかもしれません。
両親の笑顔を見ていて、そう感じました。