今日はもじゃもじゃの絵本を紹介したいんだ。 この前の「せなけいこ展」でとっても気になった本があったんだよね。
せなけいこさんっていえば、おばけ? 妖怪? それともめがねうさぎ?
残念ながら、せなけいこさんの本じゃなくて、せなさん本人が大好きな本だよ
せなさんの絵本じゃないんだね。ってことは… あっ!! わかった! せなさんが子どもの時に読んで、ぜーんぶ覚えちゃったっていう本だね。せなけいこさんの本棚、っていうコーナーに展示されていたヤツでしょ!
あたり! 早速、図書館で借りて読んでみたんだけど、これが、すごくおもしろかった。
【絵本】もじゃもじゃペーター
確か『もじゃもじゃペーター』だったよね、だからさっき、もじゃもじゃの絵本を紹介する、って言ったんだ
そうだよ。この本はハインリッヒ・ホフマンという人が自分の子どものために描いた絵本なんだって。
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『もじゃもじゃペーター』
ハインリッヒ・ホフマン作
ささき たづこ 訳
ほるぷクラシック絵本(ほるぷ出版)
あ、これだこれだ! せなさんの本だなにあった。日本語じゃないのもあったよね
そう、ホフマンさんはドイツのお医者さんだったから、もとはドイツ語で書かれていたんだけど、英語やほかにもいろんな国の言葉に訳されているんだよ。
(前略)…もともと開業医として、診察時にむずかる子をなだめるために、お話をしたり絵を描いて見せたりするのが得意だったホフマンは、1844年のクリスマスの1週間ほど前、3歳になる息子に送る適当な絵本を本屋で見つけることができなかったので、かわりに1冊のノートを買ってきて、自分で絵を描き、詩をそえて絵本をつくった。(後略)(『もじゃもじゃペーター〈オリジナル版〉作者紹介より引用
表紙の絵がもじゃもじゃペーター本人だね。指の先がすごいことになってる。シザーハンズって映画を思い出しちゃった。
シザーハンズはハサミだけどこっちは爪だね。表紙のペーターもそうだけど、この絵本の絵はちょっと不気味な感じがするんだよ。だけどすっごく見たくなちゃう絵なんだよね。
怖いけど見たいってことあるよね。
で、どんなお話だった?
お話っていうより詩だね。いろんな子どもを主役に描いた詩が全部で10編あったよ。どれもリズミカルで、歌うように読める。そうそう、ドイツ版マザーグース、って言われているらしいよ。でも、登場する子どもたちはみんな恐ろしい目に合って、ハッピーエンドとはいかないんだ。
たとえば?
指しゃぶりがやめられない子が仕立て屋さんに親指を切りおとされたり、スープを飲まなくなった子がだんだんやせ細って、最後には棒みたいになって死んじゃうとか、マッチを使っちゃいけませんって言われてた子が、こっそりマッチに火をつけたら自分が燃えて灰になっちゃったり。
最後は「うえ~っ💦」て感じなんだ。
ちゃんとしないとこうなるよ、ってしつけのための絵本、なんて解釈もあるみたいだけど、私は単純におもしろい!と思ったよ。それぞれの結末も、そこに至るまでの状況も、こんなの絶対イヤだ~、ありえないでしょ~って思うんだけど、笑えるんだよね。恐ろしいけど面白い、ブラックユーモア。それに、絵も好き。きれいじゃないけどうまい!
怖いけど面白いって絶対読みたくなるヤツじゃん!
そう、じゃあ読んでみる? はい、どうぞ!
せなけいこさんの絵本『もじゃもじゃ』
次はせなけいこさんの絵本です
『もじゃもじゃ』
せな けいこ 作・絵
福音館書店
こうして並べてみると、せなけいこさんの『もじゃもじゃ 』はご自身が大好きだというもじゃもじゃペーターの絵を彷彿とさせるものがあります。
でも、中身は別。
もじゃもじゃあたまのルルちゃんが主人公です。
もじゃもじゃの仲間の庭の木も、いぬのコロも、毛糸も、最初はもじゃもじゃだったけど、みんなきれいになっていきます。
ルルちゃんのもじゃもじゃあたまはどうなる?
とってもかわいくなりますよ。
この作品は、原画(貼り絵)で全ページ見てきたこともあって、以前よりグンと愛着が湧いています。
じつはせなさんのお嬢さんがモデルだというルルちゃん。
うちの娘もこんな時代があったなぁ、
ルルちゃんが我が子の幼少期に重なって見えました。
【絵本】『ねないこだれだ』のおばけに会える!原画や手作りのダミー本などもりだくさん《せなけいこ展》 - HANAのおと
長新太さんの絵本『もじゃもじゃしたものなーに』
最後は大好きな長新太さんの絵本です
もじゃもじゃしたものなーに
長新太 絵
講談社
もじゃもじゃしたものがつぎからつぎへと出てくる絵本です。
身近にある物、家の中のもの、外のもの、動物、たべもの、などなど
なるほど、こんなにもいろんなモジャモジャがあるんだなぁ、って楽しくなります。
この絵本、文字はありません。
絵のパワーにグイグイ引き寄せられちゃうんです。
長新太さんのシンプルだけどインパクトある絵は、大きい人も小さい人も楽しめます。
追記
もじゃもじゃペーターは生野幸吉(訳)飯野和好(絵)版もあるんです。
原作とはまた違った個性的な絵ですよ。
こっちの絵も好き!!
機会があれば手に取って見てください!