現在、東京・松屋銀座で絵本作家せなけいこさんの原画展が開催されています。
せなけいこさんの代表作の一つ、ねるのがイヤな女の子がおばけにつれていかれちゃう絵本『ねないこだれだ』の生誕50周年を記念して始まったこの原画展は、2019年7月の神奈川県・横須賀美術館からスタートし、愛知、大阪、北海道、広島を経て、昨年末から東京にやってきました。(引き続き岡山、静岡、栃木を回ります)
現在、松屋銀座で開催中のせなけいこ展について、紹介します。
- 総数約250点!!『いやだいやだ』『あーんあん』シリーズの原画をすべて展示
- 雑誌のイラストや紙芝居、幻燈、スケッチなど貼り絵以外の作品もあり
- 貼り絵の材料や絵本になる前のダミー本など絵本の裏側がわかる
- グッズも充実、ここだけの限定販売も
- せなけいこ展 今後の予定
総数約250点!!『いやだいやだ』『あーんあん』シリーズの原画をすべて展示
せなけいこ展
・会期:2020年12月27日~2021年1月12日
・会場:松屋銀座8階イベントスクエア
東京メトロ銀座線、丸ノ内線、日比谷線「銀座駅」A12番出口直結
東京メトロ有楽町線「銀座一丁目駅」9番出口より徒歩3分
都営地下鉄浅草線「東銀座駅」A8番出口より徒歩3分
JR「有楽町駅」より徒歩8分
・時間:午前10時~午後8時
会場に入ってすぐに、絵本『あーんあん』のもとになったのではないかと思われる手作りの絵本が置かれていました。
表紙のタイトルは「なきむしくん」。
厚紙を本の大きさに切って綴じ、表紙は大泣きしてる男の子の貼り絵。
紙をちぎってのりで貼って絵を描いて、お母さんが作った世界に一つだけの絵本でした。せなさんの本はこうして生まれたんだなぁって思うと、たくさんの子どもたちにずっと愛され続けている理由がわかったような気がしました。
せなけいこさんの出された絵本の数から考えれば、展示されている原画の数、約250点というのはほんの一部です。ですが250点の中で、絵本まるごと1冊分の原画を見ることができるものもありました。
「あーんあんの絵本(全4巻)」と「いやだいやだの絵本(全4巻)」の8作品です。
あーんあんの絵本
(注意:写真をクリックするとAmazonに飛びます)
保育園にいくのがイヤで大泣きしている男の子のお話『あーんあん』、おこりん坊のねこがぷーっとふくらんでしまう『ふうせんねこ』、ルルちゃんの心配をよそにあっちこっちで役に立っている失くしてしまった片方の靴下のお話『ルルちゃんのくつした』、きれいなはこを取り合いっこする『きれいなはこ』の4冊。
いやだいやだの絵本
(注意:写真をクリックするとAmazonに飛びます)
ねるのがイヤな女の子がおばけにつれていかれちゃう『ねないこだれだ』、にんじんが大好きな動物がたくさん出てくる『にんじん』、庭の木や毛糸ルルちゃんの頭モジャモジャしたものがいっぱいの『もじゃもじゃ』、いやだいやだを繰り返すルルちゃんのお話『いやだいやだ』の4冊
それぞれがページごとに展示されていて、ああ、そうだった、こんなお話だったなぁと懐かしく見て歩くことができました。
その他にも怖いけどおもしろいお化けや妖怪、泣いたり怒ったり駄々をこねる子どもたち、めがねうさぎやねこなどいろいろなモチーフの作品が展示されています。
「貼り絵」というとあまりなじみがないかも知れませんが、貼り絵の原画には見どころが満載です。
ちぎった紙の端の毛羽だったような風合いから生まれるやわらかい雰囲気や、質の違う紙を貼り合わせて生まれる立体感。
ふっ、と軽いひと吹きでもどこかへ飛んでいってしまうくらいに小さな紙片が、せなけいこさんの手にかかると蜘蛛の糸になったり、ねずみのしっぽになったり。
どこにどの紙をどんなふうに貼るか、その微妙なバランスが生み出す楽しい絵。
その巧みな技に驚きの連続でした。
個人的にうれしかったのは、「星のひとみ」の原画を見れたことです。
ちょうどクリスマスに書いた記事で紹介したばかりだったので、思いもよらぬ偶然に驚き、引き寄せられたのかな?と思ったほどです。
雑誌のイラストや紙芝居、幻燈、スケッチなど貼り絵以外の作品もあり
せなさんは絵本作家になる前、雑誌のイラストや、幻燈(影絵)、紙芝居の仕事をされていたそうです。
幻燈というのは黒い紙を切り抜き、抜いたところにセロファンを貼って光を当てて、影絵を楽しむものです。
1960年頃の雑誌や幻燈の実物、紙芝居の原画も展示されています。
師事されている武井武雄氏に「褒められた」というせなさんが初めて挿絵を描かれた本も見ることができました。
さらに、せなさんが訪れた旅行先でのスケッチもありました。
貼り絵のユニークな絵柄とは全く違う滑らかな曲線やデッサン。
「やっぱりすごい!」と思いました。
貼り絵の材料や絵本になる前のダミー本など絵本の裏側がわかる
絵本になる前のダミー本(見本)、貼り絵の下絵もありました。文章の文字に赤字(修正)が書きこまれているものも。こういうのを見ると、絵本の制作現場の雰囲気をちょっぴり感じることができて、ワクワクしますね。
貼り絵の材料(紙)がわかる展示では、「そこらへんにある紙」がたくさん並べられていました。折り紙や和紙などの他に、古い包装紙や選挙の投票用紙が送られてきた封筒、ウイスキーの箱といった日常生活で普通にある紙です。生活感のある紙たちにとっても親近感がわきました。
原画の横にその絵にまつわるエピソードが書かれているのですが、その中に、
子どもがいたからお話がどんどん生まれてきた
といった内容のものがありました。
絵本のルルちゃんのモデルがお子さんだったり、うさぎが好きながお子さんのためにうさぎを登場させたり、お子さんのゲゲゲの鬼太郎好きがきっかけでご自身もおばけに興味を持ち、研究するようになって、結果たくさんのおばけ絵本ができたり…
子どもが喜ぶ絵本が作りたい、そんな思いが込められたせなさんの作品。
駄々をこねる子どもたちや、めがねうさぎ、どこかとぼけたおばけたちの原画に囲まれていると、とても幸せな気持ちになれました。
せなさんの自伝をエッセーにまとめた『ねないこはわたし』には、せなさんが絵本作家になるまでの道のりや作品が生まれた背景、そしておばけやめがねうさぎといったキャラクターに込められた思い、などが書かれています。語りかけるような文章は読みやすく、大人も子どもも楽しく読めますよ。
この本を読んでから展示を見ると、ひとつひとつの作品がより身近に感じられます。
グッズも充実、ここだけの限定販売も
展覧会のオリジナルグッズも充実しています。
グッズ売り場に行くとみんなかわいくてほしくなっちゃうね
ポストカード(税抜¥130)やマスキングテープ(税抜¥385)、メモ帳(税抜¥400)などお手頃なものからTシャツ(税抜¥2500)、がま口ポーチ(税抜¥¥2300)、スマホケース(税抜¥3000)などそこそこのものまで約140種類。(公式サイトより)
暗いところで光る蓄光ワッペンやバッチなどおばけならではの楽しいグッズもありました。
松屋銀座限定のおばけのマフラーは、小さなおばけがついている黒とグラーのリバーシブルでかなり迷いましたが、お値段が…銀座価格?で断念💦。
まあ、マフラーはもってるしね
グラスやカップは子どもたちが喜びそうだったね
絵本の箱に入ったクッキーやゴーフルはお土産にもいいね!
やっぱりがま口ポーチだけでも買っときゃよかった…かわいすぎたもんなぁ…
よし!まだ間に合うから行って来れば?!
限定グッズはこちらから見れます☟
『ねないこだれだ』誕生50周年記念 せなけいこ展 | 松屋銀座
そのほか、期間中、8階のレストランシティ内MGカフェではせなけいこ展とコラボレーションしたメニューが提供されているそうです。
「ねないこだれだ ちょこむーす」、「いやだいやだのおくちにはいかないけーき」、「おばけのてんぷら!? さらだぷれーと」、「およぎのれんしゅうさんどいっち」、「うみぼうずとおばけがでる!! ふろーと」、「うさこのぴょんぴょんたのしいそーだ」などメニューのネーミングも楽しいですね。
せなけいこ展 今後の予定
岡山会場
2021年4月2日(金)~5月9日(日)
岡山県立美術館(岡山市北区天神町8-48)
静岡会場
2021年5月29日(土)~7月4日(日)
佐野美術館(静岡県三島市中田町1-43)
栃木会場
2021年7月10日(土)~9月5日(日)
会場 小杉放菴記念日光美術館(栃木県日光市山内2388-3)
コロナ禍での開催、平日の夕方16時過ぎてからの入場でしたので、会場はがらんとしており、幸か不幸かゆったりと鑑賞することができました。
入場時に渡された用紙に連絡先を提出して退場しました。
みんなが安心して原画展を楽しめる日が戻ることを祈ります。