近頃、外の日差しがずいぶん明るくなってきたね。あったかそう!
だけど、いざ外にでると出てみると、まださむ~い、ブルブル
早く春が来ないかな~、待ち遠しいな~
そんなとき読みたくなる絵本を紹介します。
とってもユニークな2冊です。
はるですよ ふくろうおばさん
長新太
講談社
長新太さんの絵本です。
子どものころから長さんの本が大好きです。
この絵本に出てくるのは、森の木に住んでいるふくろうおばさん。
ふくろうおばさんはとっても〈さむがり屋〉さん。
さむくなると自分がすっぽり入るセーターを編んで着ているんです。
それでも寒いので、自分が住んでいる木に大きなふくろを編んでかぶせます。
それでもまだまだ寒いので、ふくろをたくさん編んでかぶせていくんですね。
自分の木、となりの木、そのまたとなりの木、そのまたとなりのとなりの木って。
そうしてもっと大きなふくろをあんで、どんどんかぶせていくんです。
そんなことある?
ふくろうが編み物する?
あるんですよ! するんですよ!
だって長新太ワールドでは何でもありだから!!
そしてふくろうおばさんのすむ森が全部ふくろをかぶっちゃって、
やれやれ、
と思ったころ、だんだん春が近づいてきます。
すこしあったかくなってきました。
森にはふくろうおばさんのほかにも、キツネやウサギ、クマやタヌキ、イノシシやサル、ネズミやカエル…いろんな動物がすんでいます。
彼らみんながふくろうおばさんみたいに寒がりなわけじゃないんですよね。
中には少し寒いくらいがちょうどいい、って動物もいる。
それなのに、森いちめんにふくろをかぶせられちゃったもんだから、
あついよ あついよ
って声が聞こえてくるんですね。
春はどんどん近づいてきます。
もっとあったかくなってくる。
そして、どうなったと思います?
動物たちがふくろを突き破って
どどどどどどどー
って飛び出してくるんですよ、
暑くてたまらん、もうかんべんしてくれ~
って。
森じゅうの生き物たちが出てきます。
その様子はまるで
コーラの缶をガンガン振って
プシュッ
ってフタをあけた時、みたい。
わかります?
プシューッ
中からコーラが噴き出してきますよね。
あんな感じで森から大小さまざまな生き物たちがあふれ出てくるんですね。
この森、こんなにたくさんの動物いたっけ?
っていうくらい。
それはそれはすごい数の動物や鳥、生き物たちが勢いよく飛び出てくるシーンには圧倒されます。
そして、笑えます。
ここはぜひぜひご覧になってください。
読み聞かせでも、子どもたちは大喜びです。
そのあと、ある動物がふくろうおばさんのところへやってきます。
そろそろふくろをとってほしい
っていうために。
ふくろうおばさんもあたたかくなったらふくろはいりませんからね。
で、
森のふくろはどうなったと思います?
それはぜひ読んでみてのお楽しみ、ということで。
仔牛の春
五味太郎
偕成社
五味太郎さんの絵本です。
五味さんも大好きなんです。
この絵本に出てくるのは仔牛です。
そう、表紙にいますね、この牛です。
春がきます
ゆきがとけます
土がかおをだします
草が芽をふきます
こんなふうに季節の移り変わりを表すシンプルな言葉がつづきます。
雪がとけ、花が咲き、草が茂り、嵐がくる
四季を思わせる風景
なのです。
ところが、実はその風景には
え!
っと思わせる仕掛けがあるんです。
え、これがこうなってたの?
ここが、あれなの?
じゃあ、つぎはどうなるかな?
そんなふうにページをめくるのが楽しくなります。
どうだ?わかるか?
って挑戦状を突きつけられてるみたいな気もします。
最後まで読むと、
あ~なるほど
と納得。
でも
ちょっと待って、あそこはどうだっけ?
また最初から、なんどでも読み返したくなるんです。
『はるですよ ふくろうおばさん』と『仔牛の春』どちらも頭を空っぽにして読んでみてください!
子どもに戻って楽しんでくださいね~