HANAのおと

50代主婦hanaの雑記帳。おもしろい、役に立つ、覚えておきたいことをあれこれと書いています

【絵本】『生きる』~今を生きることを教えてくれた詩と絵

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生きているということ
いま生きていること


で、はじまるこの詩のフレーズ。
どこかで聞いたことが…
あ、これ、知ってる!教科書に載ってた!?

『生きる』の詩をもとに描かれた絵本です。

 

『生きる』

 

谷川俊太郎・詩 岡本よしろう・絵

 

土の上にセミがお腹を空に向けて、羽根を地面につけて死んでいる
セミの死骸にたかる蟻が数匹
自分の体の何倍もあるセミの羽をくわえて運ぶ蟻が一匹
ページの隅の方に向かって歩いている
(セミの死骸からちぎり取ってきたんだ!)
そして、そんなセミの死骸と蟻たちを見下ろしている男の子の影が地面に映っている


生きているということ
いま生きているということ

この最初のページを見たとき、少し驚きました。

動かないセミの体の一部を、せっせと運んでいるのは、生きて動いている蟻です。

生きることがつながっている!

 

死んでいる虫から「生きる」バトンを受け取った虫の姿を見て
おもしろい!
と思いました。


表紙の団地の風景も、日常の見慣れたよくありそうな風景です。
公園で遊んでいる子どもたち、
立ち話をしている女たち、
滑り台でふざけっこしている子どもたち、
セミの死骸を見つめている男の子

この絵本には街なかや公園で、あるいは自分の家で、その人がたった今、なにをしているか、が描かれています。

商店街で買い物をしている人
バス停でバスを待っている人
商店の前の道をランニングしている人

家の中ては、イヤリングと首飾りをつけて鏡に向かってニコッとしている女の子、
庭のひまわりに水やりをしているおじいちゃんと孫
水槽の中を泳ぐ金魚をじーっと見つめている子ども

一人一人にそれぞれ違った「今」があることを教えてくれる絵本です。


いまを生きる

 

いまを生きる


これは私が通っていた小・中学校の門を入ってすぐ、前庭の石に刻まれていた言葉です。
この絵本を読んで、久しぶりにこの言葉がふと浮かびました。

そして繰り返されるこのフレーズが頭の中でぐるぐる回っていました。

生きているということ
いま生きていること

 

そしてこんなことを思いました。

私はいまを感じるより、過去を引きずっていたなぁ
と。

過去の嫌なできごとや、傷ついた言葉、悲しかったこと、辛い体験。
それに負けてはいけない、早く忘れなければいけない、くじけてなるものか。
そう思うことで、前を向いているつもりでした。

ところが、この絵本に描かれているのは
いま、わらっている子どもたち
いま、動き出したバス
いま、セミの死骸から羽を運ぶアリ
です。

そんな絵を見ているうちに、
私の今には、いつもどこかに過去がくっついていた
と思えてきました。
昔の自分と比べるみたいにして、今の自分を見ていたような気がしました。
今の自分の目で、今を見れてなかったなぁ
と思うと、なんだかもったいない時間を過ごしてきたように感じました。

そして、
いまから、今をちゃんと生きよう
と思いました。
すると不思議なことに、
過去のことはもうどうでもいいわ
と思えてきて、なんだか気持ちが軽くなったような気がしました。

今の私には、この詩にこの絵がとてもしっくりきました。
何度も何度も繰り返し見て、明るい気持ちになれました。


実は、こんなことを書くつもりではなかったのです。
ですが、この絵本を見ていると、
今、思ったことを書いとかなあかん!
という気がして、こうなりました。
つまり、私はこの絵本がとっても気に入っています。

ということで…

よかったら手に取ってみてください。

 

生きる (日本傑作絵本シリーズ)

生きる (日本傑作絵本シリーズ)

  • 作者:谷川 俊太郎
  • 出版社/メーカー: 福音館書店
  • 発売日: 2017/03/05
  • メディア: 単行本
 

 

 

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