HANAのおと

hanaの雑記帳。毎日の生活でこれは役に立つ、覚えておこうと思ったことをあれこれと書いています

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【映画】「リンドグレーン」長くつしたのピッピの作者・波乱万丈な人生のはじまり

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「リンドグレーン」という映画を観ました。
タイトルに聞き覚えのある方もいらっしゃるかもしれません。
長くつ下のピッピ』や『やかまし村の子どもたち』、『小さいロッタちゃん』などの作品でおなじみ、スウェーデンの児童文学作家で、スウェーデンの紙幣になるほど有名な女性。1907年に生まれ、2002年94歳で亡くなっています。


私は、子どもの頃、本や映画やテレビで見た長くつ下のピッピが大好きでした。
大人がいなくても困難を乗り越えていく女の子、強くて、賢くて、ユーモアのある女の子の物語にワクワクしたものです。
自分が母となって『ふしぎなお人形ミラベル』という絵本で久しぶりにリンドグレーン作品に再会し、彼女の描く世界がますます好きになりました。

 

 

 この映画を見れば、なぜ彼女はあんなに子どもの心をつかむたくさんの作品が書けたのか、その答えを見つけることができます。

 

映画「リンドグレーン」の魅力

 

若きアストリッドを描いた映画

 

この映画、邦題は『リンドグレーン』となっていますが、原題は「Unga Astrid(Becoming Astrid)」(若きアストリッド)。つまり、アストリッドというひとりの女性の物語です。

彼女が学校を卒業して働き始めたのが16歳のころ。それから10年ほどの間に、彼女をとりまく環境はガラリと変わります。

いたずら好きで好奇心旺盛、活発な少女から、シングルマザーとして幼い子どもを守るためにあらゆる困難を乗り越え、強い女性に成長していくアストリッドの姿が描かれています。

 

映画の舞台は、スウェーデンの南部、スモーランド地方から始まります。
大自然の中の農場で兄弟姉妹といっしょにのびのびと育った彼女。
その才能は早くから認められ、16歳で地元の新聞社の見習いとして働き始めます。
しばらくして、年の離れた妻子ある男性(新聞社のボス)と恋に落ちた彼女は、子どもを授かることに。はじめは彼との結婚を望んでいたアストリッドでしたが、時間の経過とともに彼への愛情は薄れ、幼い子どもと2人で生きていく決意を固めます。

しかし、彼女が置かれた環境の中では、女性が未婚のままで子どもを持つことは、許されることではありませんでした。信仰に厚い家庭、両親、教会の教えや倫理観、保守的な田舎のしきたりなど、彼女の前には大きな壁がいくつも立ちはだかります。

 

映画は、年老いた女性(アストリッド)が、子どもたちから届いた封筒を開け、ファンレターを1枚1枚ていねいにひろげ、読んでいるところから始まります。封筒の中身は、手紙の他に、彼女の物語から想像して描かれた絵や、物語から作った歌を吹き込んだカセットテープもあります。その手紙や絵や歌を通して呼び起こされる彼女の記憶が、映像とともにたどられています。

 

 

困難に立ち向かう姿・無理でもやらなきゃいけないときがある

 

新聞社のボスと恋に落ちた彼女は、10代で身重な体となります。
しかし、それは、周囲の誰にも決して知られてはいけないことでした。彼女は、おなかの子を守りたい、自分の手で育てたいという一心で、親元を離れ、一人で外国(オランダ)に行き、出産します。そして生後間もないわが子を里親に預けて、仕事に復帰したのです。

生みの苦しみもさることながら、赤ちゃんと離れなければならないシーンは、胸が痛みました。張ってくる両胸を、ぐるぐると布で巻いてきつく押さえなければならず、その痛みに耐える姿は、見るに忍びなかったです。そして、まだ首も座らない赤ちゃんを人の手に預けて、自分は去らなければならない。胸の張りがわが子を思い出させますが、そのたびに苦痛と悲しみに耐え、それを乗り越えようとする彼女に、母としての強さを感じました。
 
子どもが無事に生まれた後も、大変な日々は続きました。我が子を両親に受け入れてもらえない苦悩、里親に育てられたため、わが子に「ママ」と呼んでもらえない寂しさ。

仕事と子育てで疲労困憊の毎日。

でも、彼女は決して諦めようとはしませんでした。

人生、無理でもやらなければいけないときがある

劇中に出てくる言葉、彼女の信条です。胸にひびく言葉です。


幾多の困難をのり越え、リンドグレーン氏と結婚した後、子どもたちに愛される物語を生み出していったアストリッド。(映画では作品を執筆する姿は出てきませんが)
若い頃のつらく苦しい経験が、作品の土台を支えていることは間違いありません。

彼女の作品に描かれる子どもたちは、強く、明るく、自立していて、困難を自分の力で乗り越えていこうとします。

あらゆる壁を打ち破り、おのれの意志を貫く強さを持った女性だからこそ、あんなに楽しい作品が書けるのだと思いました。

スクリーンに映る彼女は、とても頼もしく見えました。 

 

北欧の美しい風景・大自然がもつ癒しの力

 

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北欧、スウェーデンの大自然の映像も、なくてはならないものです。
あたり一面、純白の雪で覆われた田園風景、その中を白い息を吐きながら走る馬、あるいは緑の木々に囲まれた水辺の風景、バチバチと音を立てながら赤く燃える薪の炎など、人間の営みのすぐ近くにある自然の風景がふんだんに盛り込まれています。

心に深い傷を負ったとき、この自然は彼女をやさしく包み、癒してくれたのでしょう。
観客の心もホッとする癒しのひとときでした。

 

 

主演のアルバ・アウグストが抜群です!



アストリッド役を体当たりで演じたアルバ・アウグストがとてもよかったです。
純粋無垢な少女の笑顔から、どんなことにも負けない強い意志を持った母の強さまで、いきいきと演じきっていました。くじけそうになっても常に前を向いている、未来に向かって進んでいこうとする姿勢が清々しく、思わず引き込まれるものがありました。

若くして母となったアストリッドを支える里親役のトリーネ・ディアホムもよかった。
(金髪の木の実ナナさんといった感じでした)
包容力があり、温かく、母としての不安を抱えているアストリッドに「あなたなら大丈夫よ」声をかけ続けます。内側からあふれ出る深い愛を感じる女性でした。

 

最後に 


昨年の12月に封切られて、はや二ヶ月。
ようやく見ることができた作品でした。

母親にとって、子どもは何よりもいちばん大切な存在です。
その大切な子どもを守り、どんなに辛い時でも共に乗り越えてきたという経験が、ピッピをはじめ物語に登場する子どもたちに生かされているように思います。

彼女の作品が、読者の子どもたちに愛されているのは、登場人物たちがわんぱくだったり、いたずらが好きだったり、喧嘩をしたり、しかられたりするから。自分に似ていたり、自分がやってみたいことをその子がやっているからです。

わんぱくでもいい、たくましく育ってほしい
子どもの頃そんなCMを見たような気がしますが、まさに元気に、のびのびと、そして強く、たくましく、でも優しくユーモアをわすれない生き方をしてほしいと願う母の思いは、世界共通だと実感しました。

 

彼女の生き方を知って、もう一度作品を読んでみたくなりました。
まだ、読んでいない作品もたくさんあります。
きっと、新しい発見がありそうです。

 

 

スウェーデン政府は2002年にアストリッド・リンドグレーン記念児童文学賞を創設しました。授賞対象は、子どもの本に関わる活動で、作家、画家、読書活動のプロモーターといった広範囲にわたります。
2005年には、『あさになったのでまどをあけますよ』や『森の絵本』『はっぴぃさん』といった絵本や、アニメーション「スキマの国のポルタ」を手掛けられた荒井良二氏が受賞されています。

 

 

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