★おすすめ絵本を追記しました(3/4)
出かける前は、天気予報を見ています。
「日中は薄日が差すところもありますが、夜から明日にかけてはあいにくの雨となるでしょう」
雨か…
何となく残念な気分です。
ビショビショ、冷たい、暗い、ジメジメ
思いつくのはマイナスイメージの言葉ばかり。
でも小さな子どもの柔らか頭は、雨も楽しい!と感じるようにできているようです。
子どもは雨の日が好き?
息子や娘たちが小さいころ、雨の日でも外に出るのが大好きでした。
普段着られないレインコートを着て、長靴をはき、お気に入りの絵のついた傘をさして歩けるから。
せまい家の中でわいわいやっているなら、思い切って外へ連れ出した方が、私もイライラしなくていいかな、と雨の日の散歩を始めたのがきっかけです。
パラパラと傘に落ちてくる雨の音がおもしろい、
水たまりの上をバシャバシャと歩くのが楽しい、
傘もいいけど、フードをかぶって傘なしで雨の中を歩くのはもっと楽しい
降りしきる雨の中でも楽しそうに、キャーキャーとはしゃいでいました。
そんな楽しそうな顔を見ていると、私も楽しくなって、最後はいっしょに水たまりをバシャバシャ。
今思うと、子どもが小さいからこそできた遊びだったんですね。
みんな雨でも晴れでも関係なく、外に遊びに行くのが大好きでした。
玄関のドアを開けるとワーッと駆け出していく姿を見て、せまい小屋にいた子羊が広い放牧上に放たれたみたいだなあ、と思っていました。
困った! 晴れてるのに長靴をはく!と言いはる娘
雨の日ならいいんです。長ぐつをはいて、傘をさして歩くの。
でも、青空の下だと、
ちょっ、ちょっと待って!
その日は晴れ渡った青空、お日さまの光がまぶしい朝でした。
さあ、保育園に行くよ!クツはいてね。
と足元を見ると、娘は長ぐつをはいている。
え?今日はお日さまピッカピカだよ?雨降ってないよ。
うん、これがいいの。
長ぐつは雨の日にはこうよ、きょうはこっちのウサギさんのクツにしよう
いいの、今日も長ぐつはきたい
でも、雨降ってないしおかしいよ
雨降ってないと長ぐつダメなの?
いやいや、だめではないけど、おかしいなーって言われちゃうかもよ
そんなことない!
それに、長ぐつは暑いでしょ
暑くない!
お外で遊ぶとき、走りにくいよ
いいの!
……
わかった。わかった。もういいよ、それでいこ。
私の負け。
この日から娘はゾウさんの絵のついた青い長ぐつをはき、ピンクに白の水玉模様の傘をさして登園しました。
毎日です。
先生に事情を話して、外遊び用の運動靴を別に持参して、下駄箱の長ぐつの横に置いておくことにしました。
お気に入りの長ぐつで登園する娘に、お友達の先輩パパは、
今日も長ぐつだね?かわいい長ぐつだね~。
とほめてくれ、満面の笑みの娘。
先生に聞いた話では、お友達と遊ぶときは運動靴だった、とのこと。
それなら、最初からクツで行けばいいのに。
そしてこれが数日、いや、数週間は続きました。
そんなある日。
長ぐつ登園が突然中止となりました。
あんなに好きだといっていた長ぐつを、ぱったりとはかなくなったのです。
急に状況が変わって、ついて行けない私は、
長ぐつじゃなくていいの? お友達に何か言われた?
なんて、
妙なことになりました。
先生からはこんなふうに言われました。
気がすむまで長ぐつをはいて、もう十分満足したから、普通にもどることにしたのよ。もう十分長靴を楽しめた、って思ったんじゃない?
だって、靴の方が歩くのも走るのも楽だし、それは子どもだっていっしょだよ。
やりたい、といった時はやらせてみればいいんだな。
たとえそれが、世間様から見て妙な格好でも、気がすむまで見守ろう。
子どもはいつまでも同じじゃない、いつか変化するときが来るんだな。
それが、成長ってことなのか。
そんなふうに思いました。
近頃、雨の日に憂鬱な顔をして登校する娘を見ながら、
大きくなっちゃったなぁ、
とちょっぴり寂しくなりました。
字のない絵本『かさ』
最後に、私の大好きな雨の日の絵本を紹介します。
かさ (ジョイフルえほん傑作集 10) 作・絵 太田 大八
表紙を見ると赤い傘のほかは、すべて白と黒だけで描かれています。
中も同じです。
そして、文字がありません。
女の子が赤い傘をさし、手には黒い傘を持って、降り出した雨の中、駅までお父さんを迎えに行きます。
公園を通り、お店屋さんの前を通り、途中で顔見知りのお友達とお母さんに出会ったり。細い線で描かれた景色のなかに、女の子の赤い傘がパッと目を引きます。
人ごみに紛れていても、
あ、ここにいる!
女の子の居場所が一目でわかります。
お父さんに無事に傘を届けることができた女の子には、ステキなごほうびも待っています。
この絵本、初版は1975年です。昭和50年です。
町の様子や人物描写など、自分の子ども時代に見たものがそのままで、身近に感じるものばかり。うれしくなります。