2023イタリア・ボローニャ国際絵本原画展に行ってきました
東京・板橋区立美術館で開催中の2023イタリア・ボローニャ国際絵本原画展(以下原画展)に行ってきました。
6月下旬からの開催だったのに、なかなか行けなかったんだよね。
ギリギリ間に合ってよかった
この絵本原画展に展示されているのは、イタリアのボローニャで毎年開催されている児童書のイラストレーション・コンクールの入選作品です。
応募作品に関して出版の有無を問われないので、毎年世界中から多くの応募があり、絵本作家の登竜門といわれています。
今年は世界の91か国から4,345件の応募があり、その中から79人(組)が入選、日本からは5名の作家が入選しました。
どんな作品に出会えるか、楽しみ~
会場の板橋区立美術館は、電車を降りてから徒歩15分弱のところにあります。
猛暑の中のてくてく歩き。
かなりバテバテでたどりつきましたが、会場に足を踏み入れると、それまでの苦労はすべて吹き飛ぶほど、とても楽しい空間でした。
ホントに行けてよかったよ~
入選された79の作品はテーマ、モチーフとも多種多彩、バラエティ豊かです。
動物、魚、人、植物、自然、戦争、歴史、未来、夢、人生…
ジャンルを問わず、表現方法も自由です。
今回はアジアからの入選者が多く、特に中国からの入選作品が多かった印象です。
お気に入りの1枚、ミッケ!
今年の作品の中で私が最も魅かれたのはスイスの作家カティ・ベネエッティの作品・タイトルは「ジャガーの伝説」
Chathy BenettiのInstagramより
5枚の絵には躍動感あふれるジャングルの動物たちが描かれており、上の作品はその中の1枚です。
作品についての解説はなかったのですが、ジャガーの表情から彼(もしくは彼女)の苦悩とそれに打ち勝とうとしている強さが伝わってきて、この絵のパワーに圧倒されました。
おかげで、しばらくジャガーの前から動けなくなったほどです。
ゆっくりと会場を一回りしましたが、再びまたこの絵を見に行ってしまいました。
ジャガーに呼ばれたんですよね
絵本は置いていなかったのですが、出版されたらぜひ手に入れたいです。
作品展にはいろんな作品を見る楽しさもありますが、私は
お気に入りの1枚に出会えればいいな、
と思っています。
お気に入りの1枚に出会えた今日は、大収穫でした。
会場内は撮影禁止のため作品紹介はできませんが展示作品は、こちらから少し見ることができます。
2023イタリア・ボローニャ国際絵本原画展|板橋区立美術館
展示されている原画の中には絵本として出版されているものもあり、いくつかは、閲覧コーナーで実際に手に取って見ることもできます。
特別展示コーナーを紹介します
原画展では、入選作品の展示のほかに特別展示もあります。
特別展示1:SM出版賞受賞者アンドレス・ロペスの新作紹介
コンクール入選者の中から35歳以下を対象に選ばれた「SM出版賞」の受賞者アンドレス・ロペスの新作絵本の原画がすべての展示されていました。さらに、作家による作品紹介の動画を見ることができます。
特別展示2:ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェアの風景と肖像画
ブックフェアの開催60回を記念して、これまでに入選した20名の作家たちが「ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェアの風景と肖像画」をテーマに描いた作品が展示されています。
ボローニャの町の風景や人々が個性的なタッチで生き生きと描かれてます。
20枚のイラストに使われているのは赤、オレンジ、マゼンダ、黒の4色(ブックフェアのロゴマークの色)だけ。
その中の数枚は、今回の原画展(板橋区立美術館)のポスターや入場券にも使用されていましたよ。(会場入り口のガラス扉のデコレーションもそうでした)
入場券には、立体的なディスプレイなるような楽しい仕掛けが施されていました。
特別展示3:「視る」を超えて~触って「視る」ボローニャ展
入選作品の中から選ばれた5枚を、木製のパネル(触察パネル)で展示されています。一見、木版画の版木のように見えますが、凹凸の深さや木目の滑らかさ、ざらつき、などからモチーフの持つ雰囲気、滑らかさやごわつき、柔らかさ、硬さ、色の濃淡、といったさまざまな視覚から受ける情報を触覚にして表現し、触って視る試みです。
イラストレーションから触察図にするためには複雑な翻訳技術が必要で、ローマ市立パラエキスポ美術館教育普及部からの技術協力で制作されています。
この展示は、だれでも自由に触れることができます。
実際に目を閉じて触ると不思議な感じがしたよ
ボローニャ国際絵本原画展は絵本作家の登竜門
このボローニャ国際絵本原画展は、ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェアが主催するコンクールです。
コンクールには、世界中から入選を目指し児童書のために制作された作品の応募があります。
作品は5枚1組での応募となっていて、5人の審査員による選考が行われます。
5人の審査員は毎年入れ替わるので、その年、その年で審査員のカラーが反映されているのかもしれません。
それをふまえて観るのも興味深いです。
出版されている作品はもちろん、出版されていない作品も応募できます。
さらに、このコンクールへの応募作品が出版社の目に留まり、絵本の出版へとつながることもあるのです。
ですから、絵本作家を目指す人たちの新人作家の登竜門としての認知度も高く、コンクール主催者が児童書専門の国際見本市なので、世界中の出版界からも注目されているのも納得ですね。
日本からの入選作品
今回、日本からの入選者5名の作品を紹介します。
会場での撮影は禁止のため、本人のホームページやInstagram、X(旧Twitter)からの紹介になります。
あお木 たかこ 「ぼくたちのおきにいりのばしょ」
ボローニャ国際絵本原画展が始まりました。
— あお木たかこ🌏 Illustrator🇪🇸 (@T_Aoki) 2023年3月6日
一昨年の受賞時も家族が倒れて行けなかったけど、今年も行けず。
ボローニャは近いのでそのうちアーティスト仲間と行きます🙂
受賞作の1枚
『私のお気に入りの場所』1#illustration #art #artist #artwork #BolognaBookFair #BCBF #picturebook pic.twitter.com/1SsQbKa15e
ボローニャ国際絵本原画展に入選作の2枚目
— あお木たかこ🌏 Illustrator🇪🇸 (@T_Aoki) 2023年3月7日
『私のお気に入りの場所』2
僕たちのお気に入りの場所は母さんの羽の中なんだ。
障子紙を手でちぎって形にしてみたお試し作品でした。
障子紙はなかなか破れにくい😆#bolognachildrensbookfair #illustration #art #artist #artwork #BCBF #picturebook pic.twitter.com/mmTwZ2s5Nj
木村友美 「今日もどこかで何気なくも愛しい毎日」
さぶ さちえ 「いつもとちがった日」
sabu.sachie Instagramより
スズキトモコ 「さあ、おうちにかえろう。」
☟こちらに入選作品がでています
寺澤 智恵子 「まいにちの、すてきないろいろ」
☟こちらに入選作品が紹介されています
歴代の日本人入選者を紹介
これまで、多くの日本人作家が入賞しています。
私の好きな作家のプロフィールを見ると、ボローニャ国際絵本絵本原画展入賞、という文字を見かけることも少なくありません。
そこで、ごく一部ではありますが歴代入賞者の中からHANAのお気に入りの作家さんと作品を紹介します。(作品は受賞作とは限りません)
★高畠 純
1983年グラフィック賞受賞
『おとうさんのえほん』
★たかい よしかず
2001、2003、2006、2011年入選
『おさんぽ くろくま』
★刀根 里衣
2012年入選、2013年SM国際出版賞受賞
『ぴっぽのたび』
★たけうちちひろ
2015、2016年入選
『ぼくのさがしもの』
★junaida
2015年入選
『の』
2023イタリア・ボローニャ国際絵本原画展 今後の開催予定
◆西宮市大谷記念美術館 :2023年8月19日(土)~2023年10月9日(月・祝)
◆石川県七尾美術館 :2023年11月10日(金)~2023年12月17日(日)
お近くの方は、ぜひ、のぞいてみてください!