パリッとした皮の歯ごたえと、中からあふれ出る肉汁がたまらない!
熟成されたコクとうま味が最高!
お弁当のおかずにも大人気!
なぜか無性に食べたくなることもあります。
おいしいですよね、ウインナー。
さて、前回は食べ比べで終っていましたアルトバイエルンとシャウエッセンくらべ。
今回は,その続きです。
前回の食べくらべた結果はこちらです。
パッケージの表示から調査開始
日本ハムのシャウエッセンと伊藤ハムのアルトバイエルン。
実際に食べてみたら、味のちがいが予想以上にはっきりしていました。
今回は、その味のちがいの原因をさぐるため、パッケージの表示から両者の違いについて調べてみました。
《キャッチコピー》 熟成VSパリッ!!


まずは表から。
一番目立っているところに注目しました。
アルトバイエルンでいちばん目を引くのが「熟成」、つぎにドイツバイエルン州岩塩使用、原料肉豚肉100%。
シャウエッセンは「パリッ!!としたおいしさ」のパリッ!!。そしてポークあらびきの白フチ文字。
そこで調べてみました。
熟成とは
JAS規格の定義で「原料肉を一定期間塩せきすることにより、原料肉中の色素を固定し、特有の風味を醸成させること」とされています。
塩せきとはハムやソーセージなどの肉加工品を製造する際には、風味や肉質、保存性の向上などの目的で原料肉を食塩や発色剤(亜硝酸ナトリウムなど)、砂糖、香辛料などに漬け込む工程のことをいう。Wikipediaより
原料肉を塩せき剤(肉を漬け込むときに使う食塩や発色剤、砂糖、香辛料などのこと)とともに低温で長時間置くと、原料肉中の酸素類や微生物の作用により、たんぱく質や脂肪の一部が分解されて、風味に関連するアミノ酸、有機酸等の多くの物質が生成されます。また、発色剤には発色効果や保存性の付与などの作用があります。
用語集: 塩せき curing:エンセキ - 財団法日本食肉消費総合センター
岩塩について
岩塩は大昔の海水から長い年月をかけて作られた天然塩で、水に溶けにくく、味は精製塩よりも丸みやうま味があるのが特徴です。
ドイツのバイエルン州南部では、紀元前2,000年ごろから岩塩の採掘がはじまり、中世には「ホワイト・ゴールド」とよばれ、富と繁栄をもたらすもとのとして利権争いも起きたそうです。現在も岩塩の採掘は行われ、塩の博物館、採掘跡、スパ施など塩スポットも点在しています。
(参考)魅力あふれるドイツアルプスへ
アルトバイエルンは 味にとげがないと感じたのは岩塩の影響かも!
パリッ!!とした皮は天然ケーシング
ウインナーの原料となる肉塊をチョッパーで挽いて詰める皮のことをケーシングというのですが、そのケーシングには天然のものと人工のものがあります。
シャウエッセンは天然ケーシング、羊の腸を使用しています。
アルトバイエルンは特に表記がないので、人工ケーシングと考えられます。
パリッと感の違いはこれかな!
人工ケーシングには食べられるもの(可食性タイプ)と食べられないもの(非可食性タイプ)があり、食べられるケーシングにはコラーゲンケーシングがあります。コラーゲンケーシングは、動物の皮などを原料にして、その性質を天然ケーシングに近づけたものです。
次は裏面です。


写真左:アルトバイエルン、右シャウエッセン
《おいしさの説明》 コク、深みのあらびきVSあらびきと天然腸…1
*見出しの数字は写真の赤い数字を参照して下さい


アルトバイエルンのおいしさは金色の枠囲みつきで以下のように書かれています。
アルトバイエルン:コク、深みのあらびき
確かな肉粒感を感じつつも、熟成ウインナーならではのここち良い口あたりです。「伝承熟成」製法による「エイジング」から生まれるコクをさらに深くする為に、香辛料等の種類や配合を考えています。コク・余韻をお楽しみいただけるウインナーです。
伝承熟成製法によるエイジングとは?
熟成は「エイジング」とも呼ばれています。エイジングは食材に時間を与えるということ。食材に時間を与えることで、含まれているたんぱく質が酵素によって分解されます。アルトバイエルンは原料肉を伊藤ハム伝承の製法で72時間以上じっくり熟成し、肉の旨みを充分に引き出しています。
このとき生まれるのが、「アミノ酸」。アミノ酸はいわば「うま味の元」となる存在で、肉の中でアミノ酸が増加すると、食べたときに「美味しい」と感じやすくなるのです。
《熟成のメリットとは?》
正しく熟成された食材はアミノ酸が増加、うま味が強く感じられます。
また、肉などの場合、たんぱく質が分解されているため、熟成を行わないものよりも柔らかいと感じるというメリットもあります。さらに食材の中に含まれる水分量が減少するため、味が濃縮され、よりおいしいと感じるようになります。また、肉などの場合、たんぱく質が分解されているため、熟成を行わないものよりも柔らかいと感じるというメリットもあります。さらに食材の中に含まれる水分量が減少するため、味が濃縮され、よりおいしいと感じるようになります。(以上伊藤ハムHPより)
アルトバイエルンのまろやかな感じは熟成効果かも!
香辛料について
香辛料は、植物の実や種子などを乾燥させたもので、香りや辛味、色を付け臭みを消す効果があります。香辛料は、食肉加工品に数十種類使われ、香辛料の配合割合が製品に大きな影響を与えています。
香辛料には香りをつける、辛味をつける、色を付ける、臭みを消すと大きく4つの役割があり、下の表は主な香辛料の一例です。
香をつける | シナモン、カルダモン、ナツメグ、ノース |
辛味をつける | コショウ、ジンジャー、チリペッパー |
色をつける | ターメリック、パプリカ、サフラン |
臭みを消す | ガーリック、セージ、タイム、ローズマリー |
知ってる名前があるよ!
続いてシャウエッセン。枠で囲って以下のように表示されています。
シャウエッセン
・お肉本来のおいしさが生きるあらびきポークウインナーです。
・天然腸を使用しているので、パリッ!!とした歯ごたえが楽しめます。
天然腸を使用しているということは、天然の羊の腸を使用しているということです。
パリッというはっきりとした歯ごたえは天然の腸ならではということのようです。
ウインナーの皮について詳しくはこちらからどうぞ。
シャウエッセンはこだわりの製法みたいな表示はなく、表示も控えめ。
商品のおいしさの表示についてはアルトバイエルンの方が目立ちます。
シャウエッセンは
あら、ここに書いてたの!
という感じです。
《JASマーク》 特定VS特級 2種類のJASマークの意味は?…2


(写真左)アルトバイエルン:特定JASマークがついている
(写真右)シャウエッセン:特級JASマークがついている
JAS規格とは正式名を農林水産規格といいます。農林水産大臣が制定し、5年ごとに見直しが行われていて、原材料や調理法やケーシング(腸もしくはフィルムの皮)によっていくつかの名称が付けられています。
JASマーク「特級」は豚および牛のひき肉だけでつくられたもので、「上級」は豚および牛のひき肉に結着材料を加えたもの、「標準」は畜肉など(副原料として魚肉含む)のひき肉に結着剤を加えたものとなっています。
特級JASマークのつけられるウインナーソーセージの条件
1、色沢が良好であること
2. 香味が良好であり、かつ、異味異臭がないこと
3. 肉質および結着が優良であり、気孔がないこと
4. 水分は65%以下でん紛または粗たんぱく質(結着材料)は使用しない
5. 肉種は豚肉、牛肉のみ
特定JASマークとは 特別な製造方法や特色ある原材料で作られた食品で、特定JAS規格に合格したものに付けられるマークです。
熟成JAS規格はより価値を高めた製品なので、品質基準はJAS特級と同じです。
特定JASマークが付けられる熟成ウインナーソーセージの条件
1. 香味は特有の風味を有し、優良であること
2. 色沢が優良であること
3. 肉質および結着が優良で、気孔がないこと
4. 水分は65%以下
5. 肉腫は豚肉、牛肉のみ
アルトバイエルンは品質基準が最上級の特級∔製造方法に特色あり
シャウエッセンは品質基準が最上級
という結果です。
《栄養成分》カロリーなど栄養成分のちがいは…3


(左がアルトバイエルン、右がシャウエッセン)
カロリー、脂質、炭水化物はアルトバイエルンが高く、たんぱく質、食塩相当量はシャウエッセンが高いですね。
食べた時にシャウエッセンは塩味が濃くて、アルトバイエルンの方がまろやかで食べやすく感じました。これは、食塩相当量のほかに、脂質や炭水化物が多いことで塩味がまろやかになっていたと考えられます。
《名称》製法によって正式名称もちがうのだ…4


アルトバイエルン(写真左)は熟成ポークソーセージ(ウインナー)
シャウエッセン(写真右)はポークーセージ(ウインナー)
名称が違っていました。
アルトバイエルンは特定JASマークの基準を満たす熟成製法で作られているので、熟成ポークソーセージと名乗っているんですね。
原材料の違いにも表れています。
~ここで少し脱線します~
ウインナーとフランクフルトってどうちがうの?
串にささってるのがフランク? そんなわけないよね
実はどちらもソーセージの仲間です。
ソーセージには大きく分けて3つの種類があり、太さによって分けられます。
ウインナーソーセージ 直径20mm未満で、羊の腸等につめたもの
フランクフルトソーセージ 直径20mm~36mm未満で、豚の腸等につめたもの
ボロニアソーセージ 直径36mm以上で、牛の腸等につめたもの
アルトバイエルンもシャウエッセンも20mm未満だからウインナーソ―セージなんだ!
まとめ
味や食感から表示内容まで、表にまとめてみました。
アルトバイエルン | シャウエッセン | |
味 | まろやか とげがない スパイスの風味が残る |
味が濃い 塩味が強い |
食感 | パリッと感はある 肉汁たっぷりでおいしい |
パリッと歯ごたえがいい 肉汁たっぷりでおいしい |
キャッチコピー | 熟成 | パリッ!! |
おいしさの説明 | コク、深みのあらびき | あらびき、天然腸使用 |
JASマーク | 特定JAS | 特級JAS |
熱量 | 341kcal/100g | 325kcal/100g |
名称 | 熟成ポークソーセージ | ポークソーセージ |
似たようなウインナーでも調べてみると違いがあることがわかります。
どちらもおいしいけれど、おいしさの違いがわかって面白かったです。
ただ一つ気になるのは、味が濃い、塩分が多いな、ということ。
ですから
ウインナーを食べるときは、野菜もたっぷり食べましょう!!
食後には、カリウムが含まれる果物をとりましょう!
(野菜や果物に含まれているカリウムはナトリウムの排出を促して血圧を下げる働きがあるのです。)
カリウムの多い食材(100gあたり)単位mg
パセリ | 1000 | バナナ | 360 | |
アボカド | 750 | 干しブドウ | 740 | |
ほうれん草 | 490 | プルーン(ドライ) | 480 | |
サニーレタス | 410 | キウイ | 290 | |
サラダ菜 | 410 |
(参考)
『食肉加工の知識第3版』公益法人日本食肉協議会発行
最後までお付き合いありがとうございました。